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ストリーマ放電技術によりノロウイルスを分解

ストリーマ放電技術によりノロウイルスを分解
神戸大学大学院医学系研究科と共同で実証

ダイキン工業株式会社は、空気浄化技術としてのストリーマ放電技術が、ノロウイルスを分解することを、神戸大学大学院医学系研究科(兵庫県神戸市)の加納和孝助教授と共同で実証しました。

これは、ストリーマ放電技術がノロウイルス表面のタンパク質を破壊することで、ノロウイルスが容易に分解される、らせん状のRNA※1が露出した構造に変化したためであると考えられます。

今後はこの技術をさらに向上させていきます。
(※1)RNA(リボ核酸):遺伝子として遺伝情報を伝える物質。ウイルスにはこの物質がDNAである種類と、RNAである種類が存在する。ノロウイルスはRNAウイルスに属する。

(実証結果)
吸光度(※2)分析装置により、ノロウイルス抗原の分解率を測定した結果、ストリーマ放電24時間照射により、96%以上のノロウイルス抗原が分解されたことが確認されました。
(※2)吸光度:発色した色の濃さを表す数値

<神戸大学大学院医学系研究科加納助教授のコメント>
ノロウイルスは、汚染された飲食物を食べることによって食中毒症状を起こすウイルスです。感染経路は経口感染が主ですが、ノロウイルス感染症を発症している患者の嘔吐物や下痢便が床などに飛び散り、周囲にいてその飛沫を吸い込むことによって感染する場合があります。

今年の流行では、飛沫による感染拡大を疑わせる事例がありました。ノロウイルスは乾燥すると簡単に空中に漂い、また条件によっては非常に長い期間感染力を保っていると言われています。12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られています。

今回、ストリーマ放電によってノロウイルスの抗原タンパク質が簡単に分解できることが、世界で初めて実験的に確認されました。

現代は人の移動速度と生活圏が急激に拡大したことから、新興・再興感染症のリスクが高まっています。SARSコロナウイルスや鳥インフルエンザなどの感染症の流行は、今後も続くものと警戒されます。ストリーマ放電技術はノロウイルス感染防御にとどまらず、多方面で活用できうる可能性を秘めた先進的な技術と思われます。

加納和孝(かのうかずたか)
神戸大学大学院医学系研究科助教授
東京大学大学院医学系研究科終了、医学博士。NIH(アメリカ国立衛生研究所)
ビジティングフェロー、東京大学大学院医学系研究科助手を経て、平成13年から現職。専門は衛生学、細胞生物学。

(試験方法)
マイクロウエル(※3)にノロウイルス抗原溶液を10マイクロリットル(以下:μL)入れ、室温で乾燥させた。マイクロウエル上の乾燥ノロウイルス抗原にストリーマ放電を24時間照射した。このとき、ストリーマ放電の照射は、小型試験装置内で行った。照射後のノロウイルス抗原を100μLの希釈液で洗い出し、ノロウイルス抗原濃度を検査キットのELISA(エライザ)プロトコル(※4)に従って測定した。

<ELISA(エライザ)プロトコル>
抗ノロウイルス抗体がコーティングされたマイクロウエルに、照射抗原回収液100μLと、酵素標識抗体100μLを加え、室温で2時間放置した後、5回洗浄する。発色基質液を100μL加え室温で30分反応させた後、反応停止液を加え、吸光度を測定する。
(※3)マイクロウエル: ELISA測定に用いる反応容器の名称。小さな容量
(200μL)の透明な容器を96個集めたもので、反応終了後にそのまま吸光度(発色した色の濃さ)を測定することが可能
(※4)ELISAプロトコル: 抗原抗体反応を吸光度として定量する一般的な試験方法

(反応メカニズムの推定)
ノロウイルスは直径30〜38ナノメータの正二十面体構造のらせん状RNAウイルスで、エンベロープ(※5)を持たず、表面にはタンパク質が存在する。
今回の実験における、ストリーマ放電によるノロウイルス抗原の分解は、ストリーマ放電によりノロウイルス表面のタンパク質が破壊されたことを示している。結果として、らせん状RNAが露出することで、ストリーマ放電や環境中に存在するリボヌクレアーゼ酵素(※6)により容易に分解しうる構造に変化し、ウイルスを分解することが可能になっ
たと考えられる。
(※5)エンベロープ: ウイルスの外側を覆う膜成分の名称。ウイルスはエンベロープを持つ種類と、持たない種類に大別される
(※6)リボヌクレアーゼ酵素: リボ核酸を分解する酵素。RNAを分解するリボヌクレアーゼ酵素はあらゆる生物が持っているため、環境中に幅広く存在する

(参考:ノロウイルスとは)
食中毒および非細菌性急性胃腸炎の原因となるウイルス。食品を介した経口感染以外に、感染した人の糞便や嘔吐物、あるいはその乾燥した塵埃を通して人から人へ感染することが知られている。

(参考:ストリーマ放電とは)
ストリーマ放電とはプラズマ放電の1つで、一般的に使用されるグロー放電と比べて同じ電力を投入した時の酸化分解速度が1000倍以上になることを実験により確認しています。これはストリーマ放電が放電により発生する活性種の中で、最も酸化活性に優れた
「高速電子」を3次元的・広範囲に発生させることができるためです。 活性種の酸化活性を示す尺度として電子温度という単位が使われますが、「高速電子」の電子温度は10〜12エレクトロンボルト(以下:eV)で、光触媒の表面で発生する水酸ラジカル(4.3eV)の2.3倍,オゾン(1.5eV)の6.7倍になります。

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